フットパスの歴史

フットパスの歴史

私たちが 今ウォーキングを楽しめるようになったのには こんな歴史があります。


Right to Roam / 歩く権利


イギリスにおいて 田舎でのウォーキングがレジャーとして人気がで始めたのは19世紀。イギリスが世界の工場と呼ばれ 圧倒的な工業力を誇っていた時代です。都市で働く人達が 空気の汚れた町から逃れ 忙しい毎日の生活で溜まったストレス解消のために歩き始めました。

ところがイギリスでは16世紀と18世紀に行われた農地の囲い込み政策の結果 地主たちが私有地として外部からの立ち入りを禁じている場所がたくさんあったのです。

それを不満に感じたウォーカー達は 自由に歩く権利を訴え始めます。19世紀の中頃から全国各地にあったウォーキングクラブやグループがキャンペーンを始め その運動は1930年代まで続きます。

1931年 現在のRamblers の母体に当たる National Council of Ramblersが発足します。ウォーカー達の訴えを公的に発表するのが目的でした。そして翌年が歴史に残るMass Trepass of Kinder

Scoutの年です。


Kinder Scout Trespass /キンダースカウト不法侵入


Kinder Scoutはピークディストリクト国立公園で一番の高地に当たる場所。一帯はデボンシャー公爵の私有地で、しかも当時はまだ国立公園などというものは存在していませんでした。そこへ400人に及ぶRamblersのメンバーが集団不法侵入を決行したのが 有名な

Kinder Scout Trespass 1932年4 月24日の出来事です。

この事件は、その数週間前 あるウォーキングクラブのウォーカー達がデボンシャー公爵の狩猟管理人によって立ち入りを妨げられた一件がきっかけでした。当時発足間もないRamblersの幹部達によ



るRight to Roam(歩く権利)を勝ち取る運動が あまり進展していないことに不満を募らせていたメンバー達が計画したものでした。

Kinder Scoutを目指し歩き始めたウォーカー達、再び侵入を防ごうとする狩猟管理人達との小競り合いがあったものの 不法侵入は無事成功、ウォーカー達はKinder Scoutにたどり着き達成を喜び合います。


結局ウォーカー達のうち5人が逮捕され、裁判で有罪となり投獄されます、、、、でも多くの人たちの反応は 投獄された彼らに対する同情と不法侵入したウォーカー達にの行動に共感する声が多く もともとは集団不法侵入に乗り気では無かったRamblersの会が結束する結果にもなったのでした。Right to Roamを勝ち取るためのキャンペーンが続きます。Mass Trespassから 19年後の1951年 イギリス最初の国立公園がピークディストリクトで発足されます。デボンシャー公爵との交渉にも成功しウォーキングを楽しめるようになりました。しかしながら 全国には地主達によって封鎖されている土地がまだまだ多くRight to Roam

歩く権利を勝ち取るのはさらに50年ごの 2000年。

Countryside and Rights of Way Actという条例が議会を通ってからのことなのです(イングランドとウェールズの1万平方Kmに及ぶカントリーサイドが解放され、2005年より執行)。2002年には Mass Trespassの70周年を機に 11代目デボンシャー公爵が彼のお爺さんがとった態度に対し公的に謝罪をしています。

Ramblers は会員12万人以上のチャリティー団体に成長し2009年から

新しいロゴとともに活動範囲を広げています。ウォーキングが 忙しい現代人に与える健康面だけでは無く精神面へものメリットを掲げ、各地でウォーキングやイベントの企画、まだまだ続くRight to Roam/歩く権利へのキャンペーンが主な活動です。